刃渡りと火渡りを見せたガマ仙人
どんな伝承か
宮城県白石市小原猿鼻での聞き書きである。語り手が二十七、八歳で小坂峠を越えて馬方をしていた頃、ガマ仙人と呼ばれる天狗様がいた。刃を引いて危なくないようにした刀を差し、足駄をはいて「大天狗、小天狗、山越え、谷越え、沢の石はゴーロ、ゴロ」と唱えながら歩いていたという。あるとき、小原の者に知らぬと言われては困るからと、ただで術を見せてくれた。芋の入った煮え立つ湯に手を突っ込んで芋を取り出しても手は何ともなく、熾した炭火の上を渡っても火ぶくれ一つできない。最後は刃を上にして梯子を組み、手足をかけて上がったが、袴の裾はずたずたに切れても手足は切れなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。