子守りの娘に食いついた狼
どんな伝承か
島根県邑智郡石見町(現邑南町)の話。話者の父の子ども時代の話として伝わる。上押山から来た娘が矢上で子守りをしていると、子を背負っているところへ狼が近づいてきた。周りの子が「狼を追え」とけしかけ、シイシイと追ったところ、狼は腹を立てて子守りの娘を押し倒し、手に食いついた。子を背負った子がばたばた暴れたので狼は逃げた。狼に食いつかれた傷は走る(広がる)ので、三つになる子の糞をつけると止まると言い伝えられた。狼は普通は見境なく人を襲わないが、はしか狼(病狼)は見しだいに襲うという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。