ネコタケ山で修業して戻った猫
どんな伝承か
昭和二十三年ごろ、久留米市の家で可愛がっていた猫が一カ月ほど姿を消し、やがて帰ってきた。傷はないが耳のつけ根に深い切れ込みができていた。祖父は「猫は一人前になると必ずネコタケ山に修業に行き、そこで耳に切れ目が入るのだ」と当然のように言った。のちに高校の山岳部で阿蘇の根子岳に登ったとき、あの猫はこの険しい山に修業に来たのかと思い起こしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。