子の代わりに人に化けて登校した猫
どんな伝承か
明治五年の学制発布で各村に学校が設けられたが、貧しくて子どもを通わせられない家も多く、表向きだけ入学させて実際には通わせない家庭があった。静岡県小笠郡大東町東大坂では、そうした家の子どもが可愛がっていた猫が人間に化け、一時間ほど代わりに学校へ出ていたという。不思議に思った教師がその後をつけていくと、猫は藪の中へ入り、そこで元の猫の姿に戻ったと伝えられている。話者は語り手の祖父母、回答者は静岡県在住の平松文平。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。