円頓寺先の化け松から下がる箪笥
どんな伝承か
千葉県市川市行徳での話。昔、一丁目に活動小屋があり、一〇銭で入れた。芝居があると触れ回るので、若い衆が大勢見に行った。終わるのが一〇時半頃で、そば屋でかけを食べてから帰る。二丁目道は両脇が堰になっており、円頓寺を曲がったところに松の木が往来へ張り出していて、ここへ来ると誰もがぞっと寒気がすると言いながら通った。あるとき、その化け松の所から大きな箪笥がわあっと下がってきた。そこを通らなければ家に帰れないので、皆で騒いで四軒町という家へ駆け込み、一服してから急いで帰ったという。ムジナのしわざだと語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。