法事の写真に写った無数の顔
どんな伝承か
昭和五六年の夏、上鶴間の家で坊さんを呼んで法事を営み、スナップ写真を撮った。現像すると、仏間の仏壇やその脇のテレビ、坊さんの膝のあたりに人の顔らしきものが一杯写って出てきた。柱には女の髪が絡まっているように写り、夫と姑の顔は二重になって、それぞれもう一人ずついるように見えた。息子が四、五人に見せると皆が不思議な写真だという。神社へ持って行くと、坊さんに付いて様々な霊が来ることもある、宅の縁の者も出ているだろうと言われ、焚いて浄めてもらった。しかしその年、夫と姑は次々に重い病にかかり、姑は寝たきりになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。