岸壁の写真に写るオレンジの女
どんな伝承か
平成元年四月のこと。小野寺保君は家族とともに八戸市の港へ行き、岸壁で日本丸と称する船を見た。この船を写真に撮ろうと思い、少し離れた所にカメラをセットして一分間のバルブ撮影をしたところ、その写真にオレンジ色の女の幽霊が写っていた。フジカラーHR四〇〇の二四枚どりの八枚目である。母親に見せると、気持ち悪いと言われてゴミ箱に捨てられた。数年前、この岸壁から独身の女教師が身を投げて死んでいる。交際していた男性がいたのに親が縁談を勧めたため板挟みになり、死を選んだのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。