持ち出した母の写真が山に落ちていた
どんな伝承か
群馬県前橋市に伝わる話。語り手が実家を訪ねた際、祖父母や母の古い写真を見せてもらったが、自分は両親の写真を持っていなかったので、一枚もらおうとした。ところが母は「持っていかないでくれ」と嫌がり、語り手はそれ以上言えず、こっそり写真を持ち出してしまう。ところが帰る途中どこかで落としたらしく、家に着くと写真が見当たらなくなっていた。次に実家を訪ねると、母から「写真を持って行ったろう」と言われ、実家の手伝いの男の子「よし」が「ねこげた山」で拾って届けてくれていたことが分かったという。母が写真を人に譲るのを本当に嫌がっていたのだと、語り手はそのとき悟った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。