美容院を病院と読んだ電報配達
どんな伝承か
高知県高知市の話。電報は仮名で送るので、ちょいちょい笑えない行き違いがある。『タナカビヨウインカタ マエダイネコ』宛の電報が番地の記載なしで届き、配達人が探しても田中病院が見当たらない。住宅街で一軒ずつ門標を見ていくと、小さな『田中美容院』に行き当たった。同じ田中だからと訪ねると、弟子が田中病院はないと答えるが、奥の師匠に取り次ぐと『田中稲子ならあたしだ』と声を弾ませた。配達人は『ビヨウイン』を『ビ』で区切らず『ビヨウ』で区切ったため、美容院を病院と読み違えたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。