電燈の点灯を雷神の業と拝んだ爺様
どんな伝承か
大正一二年の秋口のこと。北津軽郡金木町の不動林に、白川重次郎という七十二歳の爺さまが住んでいた。日ごろから馬ほど便利なものはないと言うような人で、村に電燈がともると聞かされても見当がつかない。水の力で明かりを起こすなど人の業ではない、あれは雷様の仕事だ、雨のときに稲妻が走ると空の線が下がって地上の線につながり、それで家々に火が入るのだと信じ込んだ。文明開化とはおそろしいものだと言い、明日から電気がつくから皆で拝めと一軒ずつ触れて回り、自分も毎日拝んだという。今も語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。