電灯を吹き消そうとした祖母
どんな伝承か
埼玉県東松山市大字大谷で、昭和四年頃のこと。待ちに待った電灯がようやく入ったばかりのある日、学校から帰ると、六十歳になる祖母が一五燭光の電灯を一生懸命吹き消そうとしていた。実はスイッチに触れて点灯してしまっただけだったのだが、慌てて消そうとするその様子に、夕食の席では家中が大笑いしたという。回答者・清水清氏の伝える話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。