蓄音機を分解した女中と小人
どんな伝承か
大正三、四年ごろの話である。村の小学校の校長をしていた父が、蓄音機という名の不思議な箱を我が家へ持ち込んだのは、私が四、五歳のころだった。ところがある朝、座敷に山出しの女中が放心したように座っており、まわりには蓄音機がばらばらに散らばっていた。女中は蚊の鳴くような声で、箱の中に小人でもいるかと思って、と漏らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。