台風を告げに夢へ現れた祖父
どんな伝承か
出水市の叔母の家に遊びに来ていた中学生の娘は、台風接近の報を受け、昼のうちに休んでおこうと部屋で横になった。なかなか寝つけずにいたが、いつの間にか眠り込むと、前年に亡くなった祖父が枕元に現れ、「寝ていたら危ないぞ、早く起きろ」と繰り返し声をかけてきた。驚いた娘が叔母に伝えると、叔母は半信半疑ながらも台風への備えを始めた。その夜は夕方から猛烈な風雨となり、物置小屋が移動するほどの被害を受けたが、祖父の忠告のおかげで難を逃れたと家族は喜び合った。祖父は生前この娘を特に可愛がっており、何か起こる前には必ず夢に現れて知らせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。