株を売れと告げた亡き母の声
どんな伝承か
今から二十年も前の話である。若い頃に株をやっていたことがあった。ある夜、夢の中で、姿は見えないが死んだ母の声で「株は二十日前に売れよ」とはっきり聞こえた。仲間にその話をすると、夢のことだから問題にならないと言われ、自分も気にしてはいなかった。ところがその二十日になったところで相場がガタガタと変わった。スターリンが死に、それが動機になって下がってしまったのである。その時の値段からいえばすばらしい値がついていた。夢とぴったり合ったので、正夢というものはあるのだなと思ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。