血を流した金谷の七ッ岩
どんな伝承か
昔の山之上は田が多いのに川や溜池は少なかったが、日照りや大雨の年でも不作にならなかった。そのわけとしてこんな話がある。五百年ほど前、中之番に新六という実直な若者がいた。ある晩、近くの山の烏帽子岩に天から白幣が降りてくる夢を見て、翌晩も同じ夢を見た。正夢だと思い近所の人と岩へ行くと、本当に白幣が一本載っていた。熊野の神だと考えて祀ると、村は不作に悩まなくなった。これを羨んだ近隣の村人が岩を割り取ろうとしたが割れず、無理に穴をうがつと真っ赤な血が流れ出た。岩には七つの穴が残り、七ッ岩と呼ばれるようになった。
原典より
そのために、烏帽子岩には七つの穴があき、それ以来、だれいうとなく「七ッ岩」と呼ばれるようになった。—— 美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。