夢枕に立った息子の軍帽
どんな伝承か
昭和五十二年ごろのことである。靖国神社の倉庫の隅に、くしゃくしゃに丸まった物が落ちていた。ごみかと思って拾い上げると軍帽らしいので、きれいに洗って遺品館のケースに納めた。翌日、遺品館にいると、一人の老婦人がゆで卵を供え、その軍帽の前で泣いている。わけを尋ねると、前の晩に息子が夢枕に立ったので好物のゆで卵を持ってきたところ、息子の名の入った軍帽がそこにあって驚いたのだ、と答えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。