丘珠開拓延命地蔵尊と囚人の夢
どんな伝承か
明治二十七年、嘉えもんは富山から丘珠へ開拓に来た。家の近くの墓地の奥には、石一つ載らない土まんじゅうのような墓がいくつかあった。嘉えもんはそこに眠る人の魂を慰めたいと地蔵を作り、家のそばのクルミの木のほら穴に安置し、丘珠開拓延命地蔵尊と名づけた。地蔵はある日いなくなり、二代目を作って丸太のお堂を建てたが、数年後の大風の翌朝、お堂はつぶれ地蔵の首も草むらへ飛んでいた。そこへ山崎の婆さんが来て、首のもげた地蔵のまわりを赤い着物の囚人が輪になって踊る夢を見たと言う。苗穂の監獄の囚人は死んでも引き取り手がない。二人は無縁仏の囚人が何か言いたかったのかと話し合い、三代目の地蔵とお堂は村中で作ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。