首の落ちた鳥の夢と祖父の死
どんな伝承か
終戦の前年、昭和十九年のこと。旧制中学の最終学年だった語り手は、七月に学徒動員で藤沢市の日本精工で働くことになり、会社が借り上げた江ノ島島内の旅館さぬき屋、日本精工江の島寮に寝泊まりして通った。毎日疲れきって夢など見なかったが、十五日の夜に夢を見た。軍鶏によく似た首の長い極彩色の大きな鳥が松林の下を歩いており、手を伸ばしても触れることができない。いらだって足もとの枯れ枝を拾い、ゆっくり振り下ろすと、鳥の長い首がぽとりと落ちて動かなくなった。翌十六日の朝、起床と同時に祖父危篤の電報を渡され、帰ってみると祖父はすでに座棺に納まっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。