女郎白糸と鈴木主水の情死
どんな伝承か
享和のころ、四谷新宿町の女郎屋橋本屋に、お職女郎の白糸がいた。年は十九、引く手はいくらもあったが、青山あたりに住む鈴木主水という武士と深い仲になり、二人は情死したと伝えられる。この出来事は口説き歌に仕立てられ、紺の暖簾に桔梗の紋という橋本屋の様子から白糸の器量までが歌い込まれて、江戸の町々で評判になった。今も新宿の北裏通りにある成覚寺には白糸の塚が残り、末の世まで縁を結ぶ糸柳、と詠んだ歌が刻まれている。宿場の繁栄の陰にはこうした女たちもいたのだと著者は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
城西風土記と昔語り(熊沢宗一・昭和初期~昭和中期)