螺貝の肉を盗み食いした長寿の娘
どんな伝承か
山門郡東山村字本吉の里の伝えでは、奈良時代のころ、行基に伴われてこの地にやって来た竹本翁という唐人が住んでいた。その娘は同じ郡の舞鶴城の主である牡丹長者に仕えていたが、あるとき肥後の桑原長者から贈られてきた螺貝の肉をこっそり食べてしまい、それから長寿を保つようになった。一人の夫に二、三十年から六、七十年も仕えることを繰り返し、仕えた夫は二十数人にのぼったという。
原典より
ところが或る時、肥後の桑原長者から贈つて来た螺貝の肉を盗み食ひ、長壽を保つて一夫に二三十年六七十年仕へて、二十幾人の多きに達したといふ。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。