鏡ヶ池に身を投げた妙亀尼の塚
どんな伝承か
人買いにさらわれて隅田川のほとりで果てた梅若丸を追い、母は出家して妙亀尼と名を改め、狂女のように子の行方を尋ね歩いた。塚のもとで我が子の最期を知った尼は、浅茅ヶ原の鏡ヶ池のほとりに草庵を結んで暮らしたが、その年の秋、池の面に映った己の変わり果てた姿を歌に詠み、身を投げて死んだという。遺骸を葬った塚が浅草石浜二丁目の小公園に残る妙亀尼塚で、石を積んだ小山の上に高さ七十センチほどの小祠が据えられ、中の板碑には弘安十一年五月二十二日の銘が刻まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸動物民話物語(窪田明治)
『江戸動物民話物語』は、「郷土史・東京」の刊行会を主宰した窪田明治が、東京の郷土史を調べた材料から江戸の民話を選んでまとめた本である。狐や狸、猫、蛇が人を化かし、恩を返し、祟る話を中心に、本郷・王子・向島・麻布・三田など東京各地に伝わる話を収める。狐・狸・猫・蛇・不思議な生き物の五部に分け、一話ごとに舞台となった土地の史跡や寺社の由来、沿革の解説を添え、まえがきとあとがきを付す。