業平橋のたもとの塚と縛られ地蔵
どんな伝承か
十間川をさかのぼった業平橋のたもとには、かつて南蔵院と業平神社が並び、縛られ地蔵尊も祀られていた。寺は正平三年に林能法印が開いたと伝えられ、境内には在原業平を葬ったという塚と、業平自作と称する木像があったため業平山と号した。もっとも縁起には霊を鎮めるためとあるだけで、葬ったとは記されていない。『江戸名所図絵』の絵図では、神社の脇に地蔵が据えられ、裏手に天満宮、庭の池のほとりには夫婦竹が植わる。神社は明治五年の区画整理で廃され、寺は関東大震災の後に葛飾区へ移った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸動物民話物語(窪田明治)
『江戸動物民話物語』は、「郷土史・東京」の刊行会を主宰した窪田明治が、東京の郷土史を調べた材料から江戸の民話を選んでまとめた本である。狐や狸、猫、蛇が人を化かし、恩を返し、祟る話を中心に、本郷・王子・向島・麻布・三田など東京各地に伝わる話を収める。狐・狸・猫・蛇・不思議な生き物の五部に分け、一話ごとに舞台となった土地の史跡や寺社の由来、沿革の解説を添え、まえがきとあとがきを付す。