金次郎が堤に植えた松と明治の洪水
どんな伝承か
足柄平野を流れる酒匂川は、かつて急流の暴れ川として恐れられていた。山間部を走って一気に平野へ流れ出るため、平野の歴史は氾濫と洪水の歴史であった。とくに富士山の噴火による降砂で川床が上がり、洪水が堤を壊して流路を変えた。二宮金次郎が五歳のとき濁流に襲われ、家は壊れ田畑も失われて一家は困窮した。父は金次郎一〇歳のとき病に伏し、金次郎は堤防工事に出たり子守りに雇われたりして家計を助けた。一三歳のとき堤防に松の苗を植えることを思いつき、合間を見ては手入れをした。近隣の者は土手坊主などと噂したが、根を張ったこの松は一〇〇年後の明治の洪水で土手を守り、一部は決壊寸前の補強にも使われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)