高梁川の中州を守ったエノキの大木
どんな伝承か
高梁川の中州にあった我が家の畑の、一番上手にエノキの大木が立っていた。長雨や台風による大雨で川が氾濫しても、この大木が急流をゆるめる役目を果たし、畑の土砂が流れるのを防いでくれた。両親は洪水から畑を守ってくれるこの木に感謝の念を込め、大切に育てていた。戦前戦後の数十年、木はじっと畑を見守り続けたが、高度成長期にあたる昭和四十年代、河川改修と川砂利の採集の憂き目に遭い、とうとう切り倒されてしまった。両親がたいそう寂しがっていたのを覚えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。