石と見えたものが動きだした奥山の大蛇
どんな伝承か
笹子の集落からさらに奥の山に、ものすごく大きな蛇がいるという。語り手自身は見ていないが、何人もが見届けている。ざわざわと音がするほうを振り返ると、大蛇がにょろにょろと歩き回っていたそうだ。語り手の親戚筋の者は一昨年、草を刈っていて大きな石を見つけ、こんなところに石はなかったのにと思って見ていると、その石がずるずると動きだした。腰が抜けたようになり、何百メートルも這うようにして助けを求めてきたという。この蛇には諸説あり、昭和一七年ごろ、松ヤニを軍事用に採っていた者の一人が大蛇に出会い、それがもとで亡くなったとも語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。