山刀をはね返した昼寝の大蛇
どんな伝承か
春の日のこと、高橋某家の兄やが山田打ちに行くと、道端の雑木林の中で何かが唸っているようだった。不思議に思ってそっと笹藪を分けて覗くと、腕ほどの太さの蛇がとぐろを巻いて昼寝をし、鼻いびきをかいていた。兄やは腰から山刀を取って投げつけたが、ゴムタイヤにぶつかったようにはね返ってしまった。蛇が首をもたげてじっと睨むと、兄やはその目の光に驚いて家へ逃げ帰り、それから三か月ほど寝込んで、夏中は仕事の役に立たなかったという。青大将のような色の大蛇だったといい、今もこうした大蛇がいると信じられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。