三年生きられぬという沼に立った黒い巨体
どんな伝承か
正吉さんと則男さんは植物愛好家で、安芸の近くの沼に珍しい植物があるかもしれないと出かけた。山へ登る途中で炭焼きの老人が、昔ひとりの侍が撃ち落とした鳥を拾いに泳いで行き、そのまま沈んでしまったという言い伝えがあるから、あまり行かないほうがよいと言った。二人は気に留めずに登った。沼の周りには倒れた松があり、遠くで太鼓をたたくような音が聞こえてきた。姫水蓮を見つけてなお探していると、則男さんの目の前に一升瓶ほどの太さの真っ黒なものが六、七尺の高さににゅっと突き立った。二人は叫んで飛び退き、探しても影も形もなかった。老人は青ざめ、あの沼に入った者は三年以上生きた者がいないと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)