鉄砲で射たれ一里先で死んだ大蛇
どんな伝承か
大蛇の話である。旧暦四月、新暦の五月初めごろ、野稲を植える時期のことだった。薄木の宮田という、昔の堅物と言われた人が、北永野田に親戚があってそこへ行こうと高い丘の道を上っていくと、大蛇がいた。大蛇が追いかけてきたので少し下って逃げ、上を見ると太いものが上がって来る。昔の人は鉄砲をいつも担いでいたので、引きつけておいて射った。射たれた蛇はとぐろを巻き立て、飯を蒸す蒸籠を伏せたようだったという。柴を切りながら行き、戻ってみると蛇はいなかった。蛇は本戸の谷の金山の谷まで行って死んだといい、そこには背骨などが残っていた。射った所と死んだ所とは一里ほど離れていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。