首を切られた大蛇を石に刻んだ屋敷神
どんな伝承か
昭和四〇年頃、民家調査に行った先で、直径一〇メートルもある大蛇がとぐろを巻いて頭を持ち上げる様子を石に刻み、祀ってあるのを見た。当主は初め説明を拒んだが、やがて話してくれた。当主の父が赤城山へ下草刈りに行って帰ると真青な顔で寝込み、それきり寝込む日が続いた。医者にも原因が分からず、祈禱師にみてもらうと大蛇の魂が乗り移っているという。父に聞くと、赤城山で大蛇が飛びかかってきたので鎌を振り回し、首を切ってしまったのだった。祈禱師の言う通り同寸の御身体を石で造り、半年ほど毎日一番飯を供えて祀ると病は治り、以後この家は石の大蛇を屋敷神とし、稲荷様を処分したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。