八大龍王と名づけられた高円寺の白蛇
どんな伝承か
大正の初め、梅田銀次郎が三尺ほどの純白の蛇を捕らえ、高円寺南一丁目の田中稲荷に金網の檻をこしらえて納めたが、蛇はほどなく逃げ出した。前田駒吉が捕え直し、狐とは性が合うまいと自宅の裏庭に檻と小宮を設け、生卵と生米を与えて飼った。日蓮宗の行者が八大龍王と名づけ、毎月十八日を祭日と定める。参詣した株屋が儲けたと評判になり、蠣殻町から人力車が連なった。片目が潰れていたことから眼病の願掛けも集まり、六尺に育った白蛇は昭和十年頃に死んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。