ハミの毒を消したムカデの油
どんな伝承か
夕方、田んぼへ肥やりに行ってくるといって出た人が、何かにぐさっと刺されたといって帰ってきた。夕飯どきなので飯をよそったが、半分も食べないうちにぐうっと腫れてきたので、これはハミ(マムシ)だとわかった。昔のことで医者にも行かず、寝かせておいた。毒には毒をというので、里で作っていたハミの焼酎漬けをもらいに帰ったが、どこかへあげてしまってもう無いという。ならばムカデの油を持って行けといわれ、長く漬かってどろどろになったそれを飲ませたところ、じわりと腫れが引いた。それでも体にはハミの模様のような跡が残り、四、五年も同じところの具合が悪かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。