お祓いさんを跨いだ男とハビ
どんな伝承か
伊勢の大麻を、この辺りでは一帯に「お祓いさん」という。これを跨いだり踏んだりすると、必ずその年のうちにハビ(マムシ)に咬まれると、ずっと言われてきた。札が一〇〇枚以上たまった家は火事にならないともいう。語り手が親から聞いた話では、ある人が大晦日の晩に、わしはお祓いさんを跨いだけれども今年はハブにも咬まれずに済んだ、と言い、便所へ行った帰りに家へ上がろうとして、その敷居のところにハビがいて、その晩に咬まれたという。大晦日の頃にマムシがいるはずはないが、粗末にするなと教えるための言い伝えだったのだろうと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。