婆様に化けた狐と爺様の小柄
どんな伝承か
畑を荒らす猪を追うため、昔は畑に小屋を建てて毎晩泊まり込んでいた。語り手の三代ほど前の爺様が小屋で寝ていると、婆様が来て、爺さ寝たかと言いながら鼻のあたりに手をかざす。妙に思って翌朝尋ねると、婆様は行っていないと言う。狐が化かすと昔から言われる場所なので狐に違いないと考え、次の晩は小柄を持って寝た。同じように婆様が現れて鼻に手をやったところを突くと、キャーと叫んで狐の姿になって逃げた。朝、血の跡をたどると狐が死んでいたので塚を築き、そこがきつね塚という地名になったと家に伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。