岩の舟で来た神と蘇民将来
どんな伝承か
遠い昔、岩の舟に乗った神が岩船に着き、崖から垂れるフジのつるで舟をつないで村へ上がった。冬も近い寒い夕方、旅人の姿の神は一番の金持ちに宿を乞うたが、鮭の大漁で鮭ずし作りに追われ断られた。ほかの家も弔いや忙しさを理由に泊めず、最後に訪ねた一番貧しい蘇民将来だけが、妻が産後だがと言いつつ温かい粟飯でもてなした。以来その家は病人も出ず栄えたという。旅人が神だったと知った村人が岩の舟を祀ったのが石船神社とされ、岩船ではフジを焚かず、鮭ずしを作らず、明神川の鮭を捕らない。神を泊めた家は三日市の鈴木家の先祖といわれる。
原典より
遠い昔、岩船のムラへ神様が岩の舟に乗ってござらしたと。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。