菅沼に清水を授けた弘法大師
どんな伝承か
菅沼は高台の村で水に乏しく、飲み水を遠くから汲んでいた。昔ある夏の夕方、托鉢の僧が一軒の家で水を求めたが、汲み置きを使い切っていて出せなかった。その日は大水で橋が流され、よそから来られるはずがないのに、川向こうから来たという僧の草鞋も衣も濡れていない。村人は僧を宮に泊め、案内の庄屋と小走りに、小走りが滑って転んだ所を掘れば良い水が出ると僧は告げた。夜中、錠の掛かった宮から僧は消え、杖と草鞋と札入りの錦の袋だけが残った。言われた所に鎌を入れると冷たい清水が湧き、村人は僧が弘法大師だったと悟ったという。
原典より
菅沼は、高台にあって昔から水に恵まれないムラで、飲み水は遠い所から汲んでこなければならなかった。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。