化け物婆と流された和尚の股
どんな伝承か
早池峰山のふもとの古寺に、登山者の無事を祈る和尚が独りで暮らしていた。ある晩、身の丈七尺もある老婆が音もなく入ってきて、焼いていた餅を平らげて消えた。髪を振り乱し口が耳まで裂けた化け物じみた姿で、それから毎晩現れた。困った和尚は河原の丸石を焼いて餅の代わりに食べさせ、酒だと偽って油を飲ませると、老婆は腹が煮え立ち転げ回って苦しんだ。その後山は何日も荒れて大洪水となり、寺も和尚も種山ヶ原まで流された。和尚の体は岩に砕かれ、股の沈んだ所が大股、両手の沈んだ所が小股と呼ばれるようになったという。大股では後に、寺に伝わった南部神楽を復活させて和尚を弔ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。