虫倉山の大姥と赤い顔の金太郎
どんな伝承か
虫倉山の峰に、昔はのぼりが立つのが見えたといい、村人はそれを大姥さまに孫が生まれたしるしだと噂し合った。麓の酒屋に白髪の老婆が酒を買いに来たとき、二合入りのはずのとっくりに二升も入ったので、これも大姥さまが孫のために酒を求めに来たのだと語られた。大姥さまは坂田金時の母で、生まれたばかりの金時をこの酒で育てたため金太郎の顔は赤いのだという。山頂近くの今穴・元穴という洞穴に住み、天気の変わり目には山中を駆け回る姿が見え、雨乞いを頼むと一人で引き受けて山に太鼓の音が響いたともいう。今は子どもの虫切りの神として信仰され、お礼に鎌を納める。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。