天狗林を汚した者への神罰
どんな伝承か
むつ市奥内の二又の奥に、天狗林と呼ばれる聖地がある。今は小さな祠に天狗の面が祀られ、昔から天狗の霊域として木を伐ることも不浄も固く禁じられ、ヒバや杉、松の大木が昼でも暗く茂っていた。百年あまり前、禁を信じない男がここの木を盗み伐りに行ったまま戻らず、翌日探しに出た村人が、傷ひとつないまま自分の倒した木の脇で死んでいる男を見つけたという。また十数年前には、事情を知らないよその杣夫たちが林の下の川辺で肉を煮て食べ、翌日、車の中で休むうち全員が排気ガスで重い中毒になった。天狗は不浄を嫌うと聞いて皆で祈り、ようやく持ち直したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。