くぐれば一年無事の天狗岩
どんな伝承か
むつ市角違から大川目を過ぎて山道に入り、七曲と呼ばれる九十九折りの坂を十キロほど登ると、城ヶ沢方面と川内町方面からの二本の恐山道が合わさる所に出る。菅江真澄も恐山越えで通った辺りである。そこから少し下った険しい峰の中腹に、天狗岩という巨岩がそびえる。昔は天狗のすみかとも、城ヶ沢にあった順法寺城の隠し砦とも言われた。土台の岩の上に大岩がこまの心棒のように乗り、昔は一人の力で上の岩を回せたという。二つの岩の隙間をくぐり抜けるとその一年は無事と信じられ、戦前までは参る人が多かったが、今は道も竹や木に覆われている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。