郵便配達夫に託された母の言伝
どんな伝承か
明治の中ごろのこと、田名部の新町で若い女が赤ん坊をひとり残して亡くなり、家では葬式のあと習わしどおり女の歯をお山へ納めた。その後、ある郵便配達夫が郵便物を携えて恐山への道を歩いていると、若い女が現れ、新町の自分の家へタンナを届けるよう伝えてほしいと家の名を告げた。山を下りた配達夫がその家を訪ねて伝えると、家の者は、そういえば棺にタンナを入れ忘れていた、子のことが気がかりなのだろうと言って、すぐお山へタンナを納めた。すると死にかけていた赤ん坊が日ごとに元気を取り戻し、とうとう全快したということである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。