盗まれた御神体と女の祭り
どんな伝承か
中野沢の猿田彦神社の御神体は一寸八分の馬頭観音で、高山観勢音とも呼ばれる。昔どこからか落ちのびてきた武者の守り本尊だったとも、浅草の観音と同じものだとも、日本に三体しかない珍しい観音だとも言われる。そのせいか、昔御神体が盗まれたことがあった。盗んだのは六ヶ所の人で、自分の家に祀っていたが、何年も悪いことが続くので御神体のせいだと気づき返してよこした。集落の男たちは総出で六ヶ所まで迎えに出かけ、残った女たちが神社で待って御神体を迎えた。それ以来、戻ってきた八月九日を女の祭りと呼び、女性だけが神社に集まって神を祀り、一日を過ごす習わしになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。