仲間を殺された狐の仇討ち
どんな伝承か
十年ほど前、関根の水川目のある家の庭先に、二匹の狐が連れ立って現れるようになった。やがて慣れて鶏まで獲るようになったが、その家の主人は、仇をされるからかまうなと家族を戒めて知らぬふりをしていた。ところが狐が隣近所にも出て被害が出始め、近くのある男が罠で一匹を捕らえ、毛皮で襟巻をこしらえて首に巻いていた。翌年の冬、男は隣の集落で酒と肉の土産をもらい、吹雪の夜に止めるのも聞かず帰途についたが、家に着かなかった。吹雪がやんでから探すと、家のすぐ近くの沢で松にもたれて死んでいた。狐は一匹が餌を探すとき必ずもう一匹が陰から見ているもので、仲間を殺された狐に仇を討たれたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。