平標小屋の枕元に立つ顔の無い男
どんな伝承か
谷川連峰の平標山の南にある平標小屋で、小屋の建った昭和二十六年から通う植物好きのKさんが体験した話である。紅葉の十月上旬に登ると、主人に二晩の留守番を頼まれ引き受けた。独りで床に就いた夜、窓が開く気配がして、白地に黒縞の浴衣の男が枕元に立った。金縛りのまま見上げると目も口もない顔だった。目を覚まして窓を確かめると鍵は掛かっていたが、土間の木の扉は開け放たれていた。戻った主人に話すと、一年前に近くで五人が遭難し、自分が遺体の顔に白いガーゼを掛けたので、礼に来たのだろうと言ったという。
原典より
金縛りにあったのか、体が動かないまま男の顔を見上げると、何と、目も口もないノッペラボウだったのだ。—— これが臨死体験だ(つのだじろう(巻頭寄稿)ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
これが臨死体験だ(つのだじろう(巻頭寄稿)ほか)
『これが臨死体験だ』は、つのだじろうの巻頭寄稿「私の考えるあの世」を掲げ、超科学研究会や本誌編集部などの読物を集めた心霊と超常現象の読物集である。『日本霊異記』の蘇生譚やムーディの研究に拠る臨死体験の解説を軸に、スウェデンボリーの霊界探訪、江ノ島や勝興寺などの怪異の地、死の予言、転生、『チベットの死者の書』を取り上げる。特別読物五本のほか、読者投稿の不思議体験、血液型や「気」の実用読物、国内外の怪事を伝える短信を収める。