渓流を流れる椿に化けた妖術者
どんな伝承か
高岡郡梼原町の田野々に、中越長左衛門という男の墓がある。長左衛門は一晩のうちに荒れ地を田畑に変え、数時間で家を建ててしまうといわれ、村人からはキリシタンの妖術者として恐れられていた。ある時、一日で石の堤を築いてみせると豪語し、夕方に村人が行ってみると堤はできあがっていた。恐れと怒りを募らせた村人は宴席に招いて毒殺を図ったが、長左衛門は自分の膳を隣とすばやく取り替え、隣の者が死んだ。次に鉄砲で撃ち、倒れた場所へ駆けつけると姿はなく、渓流を椿の花が一輪流れてきた。その花を撃つと花は消え、長左衛門の死体が流れていったという。その後、死霊の祟りで害が続いたので、田野々に墓を建てて祀ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊大全(中岡俊哉・2000年(平成12年))
『心霊大全――20世紀の超自然現象世界』は、中岡俊哉が二〇〇〇年(平成十二年)に著し、ミリオン出版から刊行した超常現象の総覧である。日本各地と世界各国の怪奇現象・伝説・心霊の地を県別・国別に紹介し、心霊写真・自動書記・憑依などの心霊現象、臨死体験と輪廻転生、透視・念力などの超能力、手かざしの治療を解説する。全六章から成り、巻末に著者インタビュー、著書・ビデオ作品一覧、あとがき、著者略歴を付す。