伊藤範介と平家姫君の前世譚
どんな伝承か
山城国宇治の里に住む平家の子孫、伊藤範介は、ある秋の夕、散歩の帰りに一人の宮仕えの娘に出会い、導かれて三位中将重衡の姫君の邸宅へ案内された。そこで不思議な前世の話を聞かされ、ついに姫君と契りを結んだ。別れ際、次の亥の年の同月同日同刻に迎えの駕籠を寄越すから京都近くの大原へ来てほしいと約束した。翌日から邸宅を探したが影もなく、平家一門は数百年前に亡びていた。伊藤は病んで衰弱し、十年後の亥の年、迎えが来た夜に初めて母へ打ち明け、遺言を残して世を去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、中村古峽が著した変態心理学の論集である。二重人格、夢遊病、狐憑きや神隠し、催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教などの神憑りや心霊術を迷信として論じ、迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収める。著者自身の被験者や大本教訪問の見聞を例に引き、変態心理の解説から催眠術、宗教批判、犯罪の実話へと進む順に並べる。