デンデラ野を通る死者の前触れ
どんな伝承か
柳田國男『遠野物語』より。青笹村の糠前と善応寺の境あたりをデンデラ野と呼ぶ。雑木林の中に十王堂があり、昔野火で焼けたとき十王の像は近くの木の枝へ飛び出して難を避けたが、それでも焼け焦げているという。堂の別当をする近所の佐々木喜平の家には、村で人が死ぬ前に前触れがある。死ぬのが男なら、夜中にデンデラ野を馬を引いて山歌を歌ったり馬の鈴を鳴らしたりして通り、女なら小声で歌ったりすすり泣いたり声高に話したりして通って、その声は戦争場のあたりでやむ。臼をつく音がしたこともあり、そうして間もなくその人が死ぬのだという。
原典より
村々には諸所に子供らが怖れて近寄らぬ場所がある。—— 日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。