判定写真に写った七艇目の幻
どんな伝承か
昭和二八年一二月二四日、ボートレースの名手とうたわれた長崎県大村市出身の横溝幸雄選手が、故郷に近い唐津競艇場の試運転中にスクリューの異常で暴走し、漁船に衝突して死んだ。翌二九年一月一五日、鳴門競艇場の第一レースを終えてスタート違反を調べる判定写真を見た関係者は、六艇のはずが七艇写り、予定になかった艇が先頭を切っているのに驚いた。死んだ横溝の亡霊が乗った艇だと騒がれた。一〇年後の昭和三七年七月二四日、同郷の親友小笠原政敏選手が、かつて幻の艇を捉えた写真判定柱に激突して惨死し、横溝の霊が呼び寄せたと噂された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。