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人を引き込んだ沈堕の滝壺の主

所在地大分県豊後大野市(沈堕の滝)
年代伝承(口承)
登場久清、領主・滝壺を干そうとした
出典炉辺叢書 筑紫野民譚集

どんな伝承か

大野川の沈蛇の瀧は古くは沈墮瀧と書き、昔からさまざまな不思議が語られてきた。『亀山随筆』によれば、近いころ領主の久清公が滝見物に訪れ、泳ぎの達者な領民を一人選んで滝壺に潜らせたところ、何ものかが水底へ引き込んで二度と浮かんでこなかった。怒った領主は数千人に命じて上流の流れを掘り替えさせ、滝壺を汲み干そうとしたが、三、四日昼夜続けても底から水が湧いて尽きない。そこで大石を集めて薪を積み、真っ赤に焼けたところを一度に淵へ投げ込ませると、水は熱湯となって沸き立った。魚は多く死んで浮いたが、人を引き込んだらしいものは出てこず、にわかに大雨と雷になったので、領主は急いで城へ引き揚げたという。

原典より

此時あまたの魚の死て浮出たる中に常にことなる大魚もおほくありしが人をとれりとおぼしき物に遂に出ず。—— 炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))

『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。

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