祝儀帰りにオサキに憑かれた婿
どんな伝承か
高知県のある部落の生霊憑き十七例では、憑かれた者はみな同じ部落の生まれで、男が十二人と多く、憑いた者より階層がやや上だった。気の弱い人や体が弱っているとき、持筋の人と喧嘩をしたあとに憑かれやすいとされ、戦後に米の闇取引で財をなした人が何度も生霊に憑かれたという噂もある。群馬県のある部落の二十三例では女が十七人と多く、九人が死んだとされる。婿入りしたBT氏は一九四九年ごろ、祝儀でもらった食べ物を背負って帰る途中、オサキモチの家の前で急にひどい頭痛に襲われ、オサキのしわざと思ったが、数時間寝ると治ったと語った。恵まれた者や村の決まりを外れた者が狙われやすいという。
原典より
* 社会統制の機能* 不幸を説明する機能* 妬み深い憑きもの* 妖術の盛んな社会の特色* 憑きものの社会的条件* 憑きもの筋の持続* **注*** **あとがき**—— 日本の憑きもの(吉田禎吾・民俗・憑きもの研究・1972年(昭和47年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの(吉田禎吾・民俗・憑きもの研究・1972年(昭和47年))
『日本の憑きもの』は、吉田禎吾が一九七二年に著した人類学の研究書である。キツネ・イヌガミ・オサキなどの憑きもの信仰と、それを家筋で伝える憑きもの筋を、島根・高知・大分などの村での調査事例と古記録をもとに取り上げ、アフリカやヨーロッパの邪術・妖術と比べて論じる。三章立てで、憑きものの正体と特色、憑きもの筋の形成と伝播、憑きものが村落社会で果たす働きを順に述べ、注とあとがきを付ける。