台所道具が転げ出す農家の怪
どんな伝承か
福島県岩瀬郡白江村の農家西脇荘八の屋敷で起きた騒ぐ幽霊の記録である。昨年、どこからともなく屋敷へばらばらと木の実が降ってきたのを初めとして、明け方や夜半にかけて毎朝毎夜、拳大の石が降り、台所道具がひとりでに座敷へ転げ出した。どう研究しても人為の所業とは思われず、たちまち界隈の評判となって隣村から見物に来る者まで出た。故老は昔この村の山中にいた老猿の悪戯かと語ったが、怪異の前後に猿らしい姿を認めた者はいない。怪異は夏を過ぎ秋になっても続き、人語を聞き分けて化物の悪口を言えば一層激しくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈寫眞の研究(大和田徳義・1920年(大正9年))
『心靈寫眞の研究』は、大和田徳義が大正九年に著し、心靈寫真研究會から発行した心霊写真の研究書である。英国の心霊現象研究会をめぐる肯定説と否定説、マムラーやホドソンら欧米の心霊写真の歴史と詐術の例を紹介したうえで、日光氏の行う「靈寫」の起源と種類、特性、可能事を実例とともに述べる。後半では福来友吉と長尾夫人らの念写実験と山川博士の批判を取り上げ、靈寫と念寫の能力や価値の違いを論じる全八章の構成である。